北海道釧路地方のローカルメディア・フィールドノート

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2017-12-21
思いと言葉/思いを紡ぐ、助産院FIELD NOTE 05 より
このマチにしかない会社の社長さんやお店の店主さん、その思いと言葉をご紹介する連載。
今回は釧路町の「助産院マタニティアイ」の院長、成瀬 恵さんのお話をご紹介します。
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-マタニティアイさんのような助産院は、釧路ではここだけになるのですか?少子化が進む中で助産院を維持していく事は難しくなっているのでしょうか?
成瀬さん(以下○):お産できる入院施設がある助産院は道内7カ所ありますが、道東では当院のみです。年々少子化によりお産の数は減っていますが、強い思いで助産院を選んで来てくださるため可能な限りその思いに応えたいです。でも、実際は大変です(笑)。 その中で今、力を入れているのが「産前・産後ケア」。具体的には、国の政策として既に全国的に展開され、この地域では唯一釧路町がいち早く導入しましたが、まだ利用者は少ない現状です。当たり前だけどお母さんが“かわいい、楽しい、いとおしい”と自然に思え、元気に、安心して子どもに接することができる“環境・休養・手助け”が今の社会では必要で。お母さんのためでもありますが、これから育っていく子どもにとっての大きな幸せに繋がっていく取り組みです。
-例えばどんな内容になりますか?
○産前ケアでは妊娠中に、ご家族とゆっくりエコーを見て赤ちゃんの成長を楽しんだり、お風呂入れの練習をしたり、プランはオーダーメイドです。産後は、行政の子育てサービスを受けにくい時間帯、例えば平日の時間外や、休日夜間の時間帯は助産院だからこそ受け入れることができます。この状態は病院に受診した方がいいのか?おっぱいで困っている、気持ちが辛い、赤ちゃんが寝ない、泣いてばかりいる等々。人に話す事で情報整理ができるかもしれません。相談や利用に来た方には、「24時間365日、いつ連絡を下さってもいいですよ」。と伝えています。困った時に電話ができると思える場所が、あるのとないのとでは、やっぱり違うと思うんですよね。
-助産院の強みとは何でしょうか?
○:女性同士寄り添える、顔が見える関係でしょうか。色々な相談の電話があります。行政や学校教育現場と連携し、小・中学校などの思春期教育(性教育)も引き受けています(愛と生命(いのち)のネットワーク)。学校で私の話を聞いたからと、思い出して相談に来た子もいます。その他にも大人のDV、離婚問題などもありました。かなり危機的な状況・様々な事情があるのでしょうが、家族や近くの人からだけでなく、第三者がアドバイスしてあげることで何かが開けてくる、そんな事もありました。 私達もわからない事、ここではできない事は専門機関へ繋げていく努力をしますし、支援の点が線に繋がるための場所のひとつであると知ってもらえると嬉しいですね。 あとは、ここ(マタニティアイ)で産んだ人しか来ちゃいけないと思っている人が、結構多いみたいで…。 “どこで産んでも、育てていても、誰でも不安や悩みがあるのが当たり前で、助産院というところを どうぞ活用してください”、という事を一人でも多くの方に伝えていくことが今の課題ですね。
-1本の電話で不安が解決できる場があるって貴重なことだと思います。女性だけじゃなく男性や地域、行政の方にも助産院の重要性を知ってもらい、「安心して子育てができるマチ」として認識されたら、このマチを選んで暮らす人も増えると思います。
○:実はお産がたくさんあった頃は今の様に考える余裕は、正直なかったことに気が付きました。お産が少なくなったからこそお母さん方の思いに、よりゆっくりと耳をかたむけることができたり、この様に深く思いを馳せる時間ができたかなって。
-そもそもですが、どういった経緯から助産院をはじめたのですか?
○:前の院長から助産院を引き継ぐかどうかという時、「釧路に自然なお産ができるところがなくなるじゃない!」って、半ば勢いで引き継いだのが経緯です (笑)。立ち上げた前院長の苦労もあり、また続けていく私の苦労もあり、継続していくのは本当に難しい。実は通算して今年29年目に入りました。今後は個人の問題だけではなく、みんなの気持ちを集める時代がくるかなと。手間も時間もかかるし悩むも所も多いけれど、でもそこが人間としての核、軸の部分ですよね。だからこそ続けていきたいですね。
-少子化だからこそ、安心してお産できる場所が必要だと思うのですが、助産院としては経営が難しいという事実。なんか複雑なものを感じますが、よりたくさんの人達にこの場の重要性を知ってもらいたいですね。
○:今までここで産まれた子が3500人を超えています。人生のスタートに立ち会うのは本当に大変ですが、その場にそっと寄り添っていられる事はとてもうれしく、やりがいを思います。皆さんが色々な思いをもって助産院を選んで来てくださった事に対して、可能な限りその気持ちに応えたいです。 実際、マタニティアイで生まれた子がお母さんになって「お母さんが私を産んだこの場所で私も産みたいんです」って来てくれる若いママが増えてきました。もう涙腺崩(笑)。ここで生まれた若いパパも来るようになりました。頑張るしかないですよね。  また、一緒に頑張っていく仲間(スタッフ)も募集していきたいと思っています。
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助産院マタニティ アイ
道東で唯一の助産院。助産院での出産に限らず、妊娠期から出産・子育て期の相談、母乳育児相談など、女性を取り巻く環境をサポート。産前・産後ケアにも力を入れ、デイケアや宿泊型のサービス、マタニティアイ’sアシストといった妊婦さんや親子のスキンシップを図る取り組みも行う。お母さん達のクチコミから広まった「助産院ランチ」も1日1組限定で提供中。
web:http://fieldnotekushiro.com/shop-kst-12.html
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